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長谷山博之のシネコンサートが待ち遠しい! 《交響曲第2番ニ長調作品36》
2021.01.20
 交響曲第2番は前交響曲の作曲中に既に構想はあったと言われている。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」と並んで人気のピアノ協奏曲第3番もこの頃の作品である。そう考えればもうすでにベートーヴェンの初期の作品の括りではないと考えなければならないだろう。
 作曲されたと言われる1802年は持病の難聴が悪化し、弟に充てたと手紙と言われる「ハイリンゲンシュタットの遺書」が書かれた年でもある。持病のある自分が作曲家としての使命を全うする決意の表れなのか、この時期に作曲された作品には苦悩の気配を感じることは出来ない。仲間内で演奏できるよう楽譜を出版して収入を得ようとしたのかどうかはさておき、ピアノトリオ版の譜面も出版されているが少なくとも演奏会では聴いたことがないのでこちらの方は演奏会で取り上げるほどの良作とは言い切れないのだろう。
 第1楽章は曲の頭からしてベートーヴェンらしく大胆なはじまりである。バーンスタインはその大胆さが過度になることなくまるで逸る息子を諫める様に曲を始めながらやがて同化してしまう。この時バーンスタインは60歳くらい、この曲が出来た時のベートーヴェンは35歳。親が一丁前になったこの作品を取り上げるようなものである。若く勢いあるこの作品を前へ前へと進めていく巨匠の姿は観ていて心地良い。途中最後の交響曲となる第九の1楽章を思わせるフレーズが見え隠れするのが興味深い。
 第2楽章は打って変わってゆったり流れるような心地よい美しいメロディーが流れ、時折出てくる強音がそれを引き立たせる。木管楽器を効果的に用いて流れる様は空気の綺麗な森で迎える一日の始まりを思い起こさせ、後に世に送られる田園交響曲を予感させる。



 時折ベートーヴェンは気の合う仲間とお酒を飲んでピアノを弾きながら替え歌を歌ったこともあったというが、第3楽章を聴いていると、冗談が好きでユーモアたっぷりのそんな姿を思い描いてしまう。とっても短い楽章であるがそれ故に受けるインパクトは大きい。
 第4楽章は前の楽章を受け継ぐかのような機知にとんだ表情豊かにはじまる。終わりに向かい思わせぶりで茶目っ気たっぷりの展開からはとても病に悩んでいるベートーヴェンの姿は想像できない。存分な抑揚と共に曲は進み微笑ましさえも感じてしまうように曲は閉じる。
 バーンスタインならではの思いを込めた熱い演奏とカーテンコールでのクールにふるまう姿が印象的である。

長谷山博之☞
 
公益財団法人仙台フィルハーモニー管弦楽団事務局勤務。
「仙台発 大人の情報誌 りらく」連載「音楽(ねらく)物語」(現在休載中)で健筆を振るうなどクラシック音楽の伝道師としても活動。
美酒と美食と音楽そしてこの世のすべてのものを愛する、まるでバーンスタインみたいな博愛主義者。(笑)